現在、株式やFX(外国為替証拠金取引)に投資する個人は増加の一途をたどっている。低金利が続き、終身雇用は過去の話となり、社会保障制度にも不安が残るいま、将来のために投資を考える人が増えるのは当然の流れといえる。 だが、次々と新しい投資対象が登場するなかで、伝統的な市場である「商品先物」のイメージはけっして良いとはいえない。投資家人口は増加しているにも関わらず「商品先物取引」のイメージが良くないのはなぜだろうか。
その理由は大きく2つある。ひとつは、悪質な業者によって業界全体の信用が低下してしまったこと。もうひとつは、先物の利点と危険性を正しく理解しないまま取引に失敗し、巨額の損失を出してしまった個人投資家が多いことだ。それらが「大損する」「危ない」「騙される」……など、商品先物のよくないイメージを定着させるきっかけとなった。
個人投資家でも商品先物に良いイメージがなく「株の長期投資なら安全」と思っている人は多いかもしれない。だが、株式投資でもきちんと損切りをしない場合は損をしていることに変わりはない。むしろ、投資の鉄則である「損小利大」をしっかりと実行して利益を出しているならば、商品先物でも同じように利益を出せる可能性が高い。
また、将来のことを考えて投資をしたくても、若いうちは資金がない。そもそも、若いうちには定年後のことなど考えない。働き続けてやっと資金ができたころに投資を始めても、長期的な値上がり益を得るだけでは不十分な場合も多いのだ。
そのなかで、少ない資金から始めることができ、「レバレッジ取引」が可能な商品先物取引は、目標達成のための現実的な選択肢のひとつといえる。「レバレッジ」を使えば、少ない金額で大きな金額を動かすことができ、資金効率が格段によくなる。これがハイリスクハイリターンのゆえんとなるものだが、その特性をきちんと理解し、リスク管理と資金管理を徹底すれば、非常に強力な武器となる。
ぜひ本書で商品先物取引の基礎を学び、新たに商品先物取引の世界への第一歩としてほしい。
プロローグ
第1章 投資家への入り口
第2章 商品先物取引の仕組みと歴史
補足 先物取引の意義/商品先物のしくみ/レバレッジ/日本市場の特徴
第3章 商品先物取引の基本用語
補足 限月制度/統一規格/証拠金/日本の主要商品と呼び値と取引単位
第4章 商品価格は需要と供給が決め手
補足 ファンダメンタル分析/お天道様相手の相場「気象条件」
第5章 「チャート」を見る
補足 テクニカル分析の基本/日本の主要商品と市場の年間出来高
第6章 口座を開設する
補足 商品先物の口座を作るときの手順/ネット取引の利点/口座開設のときにチェックすべきポイント/
投資資金の保全機関/もしものときの連絡先
第7章 商品先物トレードをはじめよう
補足 ニュース/取引にかかるお金について/板寄せとザラバ/取引単位と呼値/相場の表現方法/
実際に売買するときに決めておくべきこと/さまざまな注文方法
第8章 リスク管理を徹底する
補足 ナンピン/商品ファンド
第9章 トレードのコツをつかむ
補足 為替動向/情報の性質と反応予想
エピローグ
補足 商品先物を始める前に/税金
用語