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株式投資実践シリーズ第4弾!!

実践 モメンタム分析入門
ExcelスプレッドシートCD-ROM付き

A5並製 160頁 CD-ROM付き/定価 本体 3,800円+税 /ISBN4-7759-4006-6 C2033/2003年8月発売
制作:アスカビジネスカレッジ/著者:的場丈幸

→お申し込みはトレーダーズショップからどうぞ!!


■著者/的場丈幸(まとば・たけゆき)

 1990年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。MTBインベストメントテクノロジー研究所(三菱信託銀行100%出資シンクタンク)に勤務後、日本バンカーストラスト信託銀行でデリバティブズを利用した自己勘定取引やオフショアファンドの運用に従事。また、東海インターナショナル証券(旧東海銀行系証券子会社)では日本国債オプションのディーリングに従事。ゴールデンチャート社のチーフ・ストラテジストを務めた経験もある。現在はリスク管理系コンサルティング会社である(株)AFASで商品開発に従事する一方、テクニカルアナリストとして合理的かつ実践的なテクニカル運用の確立を目指す。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。日本統計学会、日本金融・証券計量・工学学会、経済応用時系列研究会等の学会における論文発表多数。


<目次>

はじめに
  
PART1 モメンタムとは?
(1)歴史に見るモメンタム
(2)相場の基本的性質
   �トレンドの持続性
   �自律反転のメカニズム
   �心理的な天の邪鬼性
(3)モメンタム分析のための心得
   ポイント1 材料売買からの脱却
   ポイント2 数量的なテクニカル指標の利用
   ポイント3 バックテストの最適化

PART2 証券価格変動の分解
(1)相場変動の普遍法則
(2)相場変動の要因
(3)テクニカル分析が有効に使える相場・使えない相場
(4)テクニカル指標の大分類

PART3 トレンド系指標
(1)トレンド変動とトレンド系指標
(2)トレンド系指標の一般的な活用法
(3)トレンド系指標の具体例
   � 単純移動平均
   � 加重移動平均
   � 指数平滑移動平均
   � 出来高加重移動平均
   � MACD(移動平均収束乖離)
   � ハイ・ロー・バンド
   � ボリンジャーバンド

PART4 オシレーター系指標
(1)サイクル変動とオシレーター系指標
(2)オシレーター系指標の一般的な活用法
(3)オシレーター系指標の具体例
(4)オシレーター系指標の比較

PART5 ボラティリティ系指標
(1)ノイズ変動とボラティリティ系指標
(2)ボラティリティ系指標の一般的な活用法
(3)ボラティリティ系指標の具体例
   � HV(ヒストリカル・ボラティリティ)
   � ATR(平均トゥールレンジ)
   � DMI(方向性指数)
(4)ボラティリティの期間構造
(5)証券価格のボラティリティと運用リターンのボラティリティ

PART6 バックテストとパラメーターの最適化
(1)何のためのバックテストか?
(2)何を目標に最適化するのか?
   a リターン(%)
   b リスク(%)
   c シープ・レシオ
   d 最大ローダウン(%)
   e 期待回復期間(年)
   f ウィニング・レシオ
(3)最適化における注意点
   a データ期間の長さ
   b パラメータの安定性のチェック
   c パラメータの非局所的な最適化

7.おわりに

付属CD-ROM付き
 

はじめに

 相場の世界で重要なことは「将来について正しく予想すること」でしょうか、それとも「上手く売買すること」でしょうか。「将来について正しく予想すること」と「上手く売買すること」は一見同じことのように思えるかもしれません。しかし、株式、債券、外為相場、商品先物等の世界に何年間かでも身を置いていると、予想の正しさと売買の上手さは実は別物であると気付くようになります。実際、上手く売買している人々の行動をじっくり観察してみると、彼等は必ずしも将来について正しく予想しているわけではないということが判明します。彼等は相場の将来を予想したうえで売買しているのではなく、相場のある性質をうまく利用して売買しているのです。彼等が利用している相場の機械的なメカニズム、すなわち「モメンタム」の分析と活用法こそがこの本のテーマです。

 業績や財務内容といったミクロ企業情報、あるいは景況感や金融政策や財政政策といったマクロ経済情報に関する情報を利用して将来の市場動向を予想しよう、あるいは予想できるという立場をとる人々をファンダメンタリストと呼びます。一方、市場で観察される価格や出来高等のパターンといった情報を利用して売買しようとする人々をテクニシャンと呼びます。彼等の分析手法はテクニカル分析と呼ばれるので、テクニシャンが分析家となるときテクニカル・アナリストと呼ばれます。また、テクニシャンがトレーダーとなるときテクニカル・トレーダーと言われます。立場がアナリストであろうとトレーダーであろうと、テクニシャンである限り彼等は同一の哲学を共有しています。すなわち、過去における価格や出来高の分析は売買にとって有益であるという哲学です。

 当然のことですが、この本はテクニシャンの立場から書かれています。テクニカル分析が実際に有効であるか、すなわちテクニカル分析に基づいて投資パフォーマンスを向上させることができるかという問題については、長年にわたって論争が続いてきました。特にアカデミズムの世界において、テクニカル分析は非常に低い地位に甘んじてきました。金融経済学で最も支配的だったパラダイムは、効率的市場仮説と呼ばれるものです。効率的市場仮説によると市場は十分に効率的であるため、過去の価格や出来高の影響はすべて現在の価格に反映されています。すなわち、過去の価格や出来高といった情報を用いても全くメリットはないということです。この効率的市場仮説のおかげで、まるでテクニカル分析は科学ではないと見なされた時代もありました。

 ところが、実証研究が積み重ねられた結果、効率的市場仮説によっては決して説明できないような市場のパターンが幾つも発見・確認されるようになりました。これらの現象はアカデミズムの世界では市場アノマリーと呼ばれています。アノマリーとは変則を意味する英語です。当時の支配的パラダイム=効率的市場仮説では説明できないにもかかわらず現実の市場では反復的に観察されるので、アノマリー=変則と呼ばれます。例えば、相対的に過去3年間のパフォーマンスの悪かった銘柄からなる株式ポートフォリオが次の数ヵ月間に相対的にみて良好なパフォーマンスを示すといった現象(注:リターン・リバーサル現象)がアノマリーの代表例です。市場アノマリーの存在はテクニシャンの立場を正当化するものです。さらに、米国で最も優れたビジネス・スクールであるペンシルバニア大学ウォートン校のシーゲル教授は、その教科書において200日移動平均線に基づくトレンド追従型売買の有効性について吟味しています。

 以上の一連の事実は、米国等の学会では既にテクニカル分析が学問的研究の対象になっているということを示しています。よって、テクニカル分析が科学的でないと初めから決めつけるような議論はもはや時代遅れです。むしろ、テクニカル分析はどのような場合にどの程度有効であるのかを実証的・客観的に研究することこそが重要であると思われます。

 この本は、テクニカル分析、特にさまざまなテクニカル指標の定義と活用法をコンパクトに理解、習得できるようにしたものです。世の中には実に多くのテクニカル分析に関する著作がありますが、この本では実践的に役立つエッセンスだけを私なりに抽出してまとめてみました。食物で言えばいわゆる濃縮還元エキスのようなものです。

 と言ってもこの本は、他の数多くの本の単なる要約本などでは決してありません。実践的な側面を終始強調しているつもりです。また、読者の方々がこの本を読んであるテクニカル指標の独創的な活用法について初めて学んだとお感じになることも多々あるはずだろう、と自負しています。テクニカル分析の最大の目的は、それを活用して投資パフォーマンスを向上させることです。いくらさまざまなテクニカル手法を学んでも、その結果として投資パフォーマンスが向上しなければ何の意味もありません。つまり、テクニカル分析の本質はそれについての知識ではありません。テクニカル分析で重要なことは、あくまでもその有効な活用です。

 テクニカル分析の活用が問題となるとき、それらの具体的な活用法についての理解はなるべく簡潔なほうが良いはずです。コンパクトな売買ツールだからこそ、ユーザーは千変万化の相場の世界で縦横無尽に使いこなすことが可能なのです。よって、個々のテクニカル指標の定義や活用法を可能な限り簡潔かつ明快に解説するように心掛けました。

 この本では、テクニカル分析が対象とする相場のパターンを「モメンタム」と総称しています。先ほどのウォール街の格言が物語っているものがまさに「モメンタム」です。相場は「理屈(=材料)」と「勢い」で動きます。しかし、実際に投資家の損益に影響するものは、相場の「勢い」のほうであって「理屈」ではありません。「勢い」のある相場は「理屈」を作り出していきます。「理屈」が「勢い」を生み出すのではありません。「理屈」は「勢い」に付いていくとも言えます。この相場の「勢い」が「モメンタム」です。では、これから「モメンタム」をどのように分析するのかを見ていくことにしましょう。

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